夏の脳梗塞について(2018年7月2日)
夏の時期に多いと言われている、夏の脳梗塞についてお話したいと思います。
脳梗塞の3つの種類
1つ目は、小さな細い脳の血管が詰まっておこる「ラクナ梗塞」です。この場合は小さな血管なので、詰まってもほとんど症状が現れないことが多いです。ただし、あちこちに沢山できてしまいますと、認知症やパーキンソン症候群などの原因の一つになったりします。2つ目は、首の血管にコレステロールが長い時間かかって溜まり、血管の穴が狭まります。そこに何らかの原因で、血小板や血球が集まり血管を塞いでしまい血のかたまりがはがれて、脳の血管を詰まらせてしまう。これを「アテローム血栓性脳梗塞」と言います。
この場合は、比較的大きな血管に起こることが多いので、大きな障害が残ると言われています。
3つ目は、原因が心臓にある脳梗塞です。お年寄りに多い不整脈(心房細動)で心臓の拍動のリズムが乱れるために、心臓内で血の流れがよどんでしまい、血栓をつくる原因となります。それが脳の血管に流れて詰まって脳梗塞になります。これを「心原性脳塞栓症」と言います。
心臓にできる血栓は結構大きいものなので、これが原因で脳梗塞になってしまうと、重い脳梗塞を起こすことが多いと言われています。
夏の脳梗塞の予防について
夏に何故脳梗塞が多くなるのかと言うと「脱水」が原因の1つに挙げられます。血液の中の水分が脱水で減っていくので、血液自体がドロドロになってきます。水分量が減るので、血液量も減ってしまいます。それで、血管の中の流れ方が悪くなって詰まりやすくなります。また、暑いと血管が拡がるので血圧が下がります。血圧の低下で血液の流れが悪くなってしまい、そこに「脱水」が重なって血流がさらに悪くなり血栓ができると、言われています。
予防としてはできるだけ「脱水を避ける」ということ。若い時ち違って、お年寄りは調整する生理機能が落ちているので、特に注意が必要です。
脳梗塞の最大の原因2つ
脳梗塞には最大危険因子と言われているものが2つあります。1つ目は高血圧。血圧が高いと、血管に傷をつけやすくなります。傷がつくと、そこを修復しようとしますので、だんだん血管壁が厚くなってきます。それで詰まるという事なので、高血圧をできるだけ、コントロールしていく必要があります。
2つ目は糖尿病です。血糖が高いと血管を痛めるのでそれで血栓ができて脳梗塞になります。糖尿病の人は血糖をしっかりコントロールしていくことが必要です。
「前触れ発作」に注意
「一過性脳虚血発作」と言われているものです。例えば、脳と言うのは左右2つに分かれていますので、血栓ができると片側だけの症状が出ます。例えば、片側の手足がしびれる、動きにくいとか。。。
あるいは、しゃべりにくい、目が見えにくい、暗い、ふらふらするとか、気持ち悪いとか。
これらの症状が出ても、数分から数十分ほどで自然に症状が消えてしまう場合があります。これは血栓が脳の血管に詰まってしまったものの、短時間のうちに血栓がとけて血流が再開するために症状が消えることで起きます。
そういう症状があると「血栓が詰まってもたまたま流れた」ということなので、今後、脳梗塞が起きる可能性が高いという事です。できるだけ早急にそういう症状があれば「まぁ、大丈夫か!」と思わず、すぐに病院に行かれて、きちっと調べていただいて、予防していただくことが重要です。
声掛けを
前にもお伝えしましたが、脱水症は6月~8月の間が多いと言われています。脳梗塞につながるような脱水症にならないように、特に独り暮らしのお年寄りの方には注意をして声を掛けていただけるように、引き続きよろしくお願いいたします。
神窪ケアマネージャーによる、季節にまつわる「よもやま話」
2018年7月2日号